深山幽谷の聖地 「高野山」
日本全国各地に、数々の伝説と共にその名を残した、かの有名な弘法大師(空海)。その弘法大師が修禅の場として開いた聖地、それが「高野山」です。
たまに高野山という”山”のことだと思っている人がいますが、高野山という山はありません。「高野山」は仏教における”山号(寺院の名称に冠する称号)”であり、空海がこの地に開いた真言宗の総本山である金剛峯寺(こんごうぶじ)の山号が「高野山」なのです。
※山号の例:高野山金剛峯寺、比叡山延暦寺、音羽山清水寺、瑞竜山南禅寺 など
高野山ロープウェイ駅からバスに揺られること数分、山の中に綺麗な町が突如として現れます。この町が高野山でありその全域が寺の境内とされ、境内の中に発展した町として栄えています。観光目線では「①壇上伽藍(だんじょうがらん)」「②金剛峯寺(こんごうぶじ)」そして「③奥之院(おくのいん)」の3つエリアが特に見どころとなっており、連日多くの観光客が各々神聖な空気を感じつつ散策を楽しんでいます。前述の通り、町全体が境内でありますが、現代では一大観光地としてすっかり整備されており、町にはお土産屋が軒を連ねます。高野山のお土産と言えば、その名を冠する「高野豆腐」は外せませんが、精進料理にも出てくる”胡麻豆腐”も大人気で、ピンからキリまで各店自慢の胡麻豆腐が楽しめますので、訪れた際には是非ご賞味ください。
【①壇上伽藍(だんじょうがらん)】
壇上伽藍は、高野山を開くにあたって弘法大師が最初に整地に着手された聖域とされています。中心には、鮮やかな朱色と漆喰の美しい白のコントラストが目を惹く、真言密教のシンボル”根本大塔(こんぽんだいとう)がそびえ建っています。ずんぐりむっくりとした印象を与える白い漆喰部分「亀腹」は、2019年に改修工事を終えました。この根本大塔を中心に、周囲には高野山の総本堂である「金堂(こんどう)」や、弘法大師が住んでいた「御影堂(みえどう)」があります。高野山に来て、さぁどこから回ろうか、と迷ったらまずはこちらに訪れると良いと思います。
真言宗の総本山である金剛峯寺。前述の通り、元来”高野山”というのは、この金剛峯寺のことを指します(明治期以降はこの寺院の寺号ともなっているそうです)。金剛峯寺の前に着くとまず目に入るのは立派な門。金剛峯寺の正門は、文禄2年(1593年)に建てられており、金剛峯寺の最古の建築物だそうです。その昔は皇族と、一部の高野山の重職のみくぐることが許されていた神聖な門だったそうな。
門をくぐると主殿がドンと建っています。金剛峯寺の本殿はこれまで何度も火災による焼失を繰り返しており、屋根の上に防火用水として大きな桶(天水樋)が乗っかっており、不謹慎ながら本殿の見応えを演出しています。金剛峯寺の内部には襖絵が見事な大広間や、国内随一の広さを誇る石庭「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」があるので、是非入ってみてください。
【③奥之院(おくのいん)】
高野山の街を東へ歩いていくと、”一の橋”という橋があります。そこから、高野山の中で最も神聖とされている信仰の中心地でもある”奥之院”への道のりが始まります。一の橋を超えるともうそこは杉木立の聖域。日陰であることも多分にあるかと思いますが、気温が下がるのと同時に、凛とした空気感に変わるのが肌で感じられます。
奥之院は、お大師さまが御入定(魂が永久に生き続けている状態)されている聖地であり、一の橋からお大師様がおわす御廟までの約2kmにわたって、日本史に出てくる諸大名を始めとする有名人の墓石や祈念碑、慰霊碑が立ち並んでいます。神聖な場なので、静かに回るのは当然ですが、「上杉 謙信」「武田 信玄」「織田 信長」などの、頭に超が付くほどの有名な武将たちの供養塔が多く点在しているので、楽しく散策できます。
備考 | 駐車場や、各施設詳細は「高野山公式ホームページ」をご参照ください |
“ラピュタは本当にあったんだ!!”「友ヶ島」
かの有名な某天空の城に酷似している、と巷で有名な”友ヶ島(ともがしま)”。明治時代、外国籍の戦艦が大阪湾へ進行することを防ぐために旧日本陸軍により、見張り台や砲台が配備された。広島の”大久野島(毒ガス製造島)”同様、その存在を敵国に知られないために、当時の地図には記載がされなかった”地図から消された島”の一つです。
第二次世界大戦まで、一般人の立ち入りが禁止されていた島で、大戦終了後に瀬戸内海国立公園の一部として環境保護される流れとなったため、戦後まもなく爆破された第二砲台跡地以外は綺麗な状態で残っているんだそうな。
島へはJR加太駅から徒歩で行けるフェリー乗り場から向かいます。島はかなり広く、また山道を歩くこともあるので、せめて足元はハイキングの装いで行きましょう。また、転落(死)の危険があるエリアもあるので、立ち入り禁止エリアには絶対に立ち入らないようにしましょう。尚、砲台の中を散策するなら、懐中電灯が必須。フェリー乗り場と淡嶋神社(後述)は近いのでセットで観光するのがおススメ。
備考 | 大人往復 2,200円(小児往復 1100円) ※加太港⇔友ヶ島(沖ノ島) 所要約20分 |
駐車場 | あり(50台 車 700円・単車 200円) |
荘厳の滝「熊野那智大社(熊野三山)」
熊野三山の一つである”熊野那智大社”。一言でいうと「すごい滝がある神社」です!
神社は、大岩や大木、あるいは山をご神体としているところが多いですが、こちらの神社のご神体は”滝(那智の滝)”です。
本殿に近い駐車場(神社管理)と、那智の滝に近い駐車場(お土産や管理)がそれぞれあります。神社管理の大社社務所下(30台 800円/台)を利用すれば、簡単に本殿への参拝ができます。滝を見たい方は、お土産屋管理の飛瀧神社前の有料駐車場を利用しましょう。…まぁせっかく来たので足腰が丈夫な人は結局、本殿も滝も見るでしょうから、どちらに停めても変わらないですね、という話です。
駐車場 | あり(有料)普通自動車800円 |
まるで夢のようなビーチ「白良浜(白浜町)」
その名の通り、真っ白な砂浜が続く夢のようなビーチ。私はオフシーズンにしか訪れたことがなく、人が全くいない静かな白浜しか知りません、、、それこそ、夢に出てくるような光景。当然、夏の海水浴シーズンには人でごった返すようで、そんなに人気のあるところだと知ったのは、初めて訪れてから数年後のことでした。海水浴目当てでなければ、オフシーズン(冬季)に訪れることをお勧めします。
備考 | |
甦りの聖地「熊野本宮大社(熊野三山)」
当然のことながら熊野三山の一つであり、全国に3千社あるという熊野神社の総本宮です。
“古代本宮の地に神が降臨した”との伝説があり、平安時代から「浄土への入り口」として多くの皇族や貴族が、この地に参詣しました。”浄土へお参りし、帰ってくる”ということから”死と再生”という連想させ、熊野三山は「甦りの聖地」として、多くの信仰を集めました。熊野三山で目にする、足が三本生えたカラスは「八咫烏(やたがらす)」と言う、太陽の化身であり、導きの神。「平安」に導いてくれる神だそうで、気分が穏やかになる、平穏になるというようなご利益があるそうなので、…荒んだ気持ちの方はお守りの一つでも買ってみるといいかもしれません笑
駐車場 | あり(無料) ※詳細は「熊野本宮大社公式ホームページ」参照 |
落ちるのは月か夕陽か「円月島(白浜町)」
和歌山県の白浜にある真ん中がぽっかりと開いた不思議な形の島、円月島。正式名称は「高嶋(たかしま)」といい、このぽっかりと開いた穴に夕陽が沈むさまがとても美しい、とのことで全国からカメラマンが集結する、夕陽の名勝です。私が初めて訪れたのは2008年ごろでした。宿の女将さんに教えてもらって、レンタサイクルで夕陽が沈むさまを見に行きました。惜しくも水平線に陽が落ちる間際で薄雲が出て来てしまい、完全な形で見ることはかないませんでしたが、それでもとても感動した絶景でした。
夕陽のスポットとして有名ですが、名前からしてきっと昔の人は、夜の水面に伸びる月の光が、円月島の穴から煌めいていたのを見て名付けたんだろうな…と勝手に思っています。
駐車場 | なし |
神聖なる木々に囲まれた霊場「熊野速玉大社(熊野三山)」
熊野三山の一つである”熊野速玉大社”。那智大社のように大きな滝があったりはしませんが、私は朝早くに訪れたため、観光客もおらず、とても澄んだ神聖な空気を感じられました。祀られているのは、「熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)」と「熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)」という”夫婦神”です。そのため、縁結びや家内安全のご利益があるそうです。
駐車場 | あり(無料) |
天邪鬼と弘法大師の駆け引きの舞台「橋杭岩」
本州最南端の串本町にある、奇岩群「橋杭岩」。昔々、弘法大師が困っている地元民のため、島まで橋を架けようとしたが、天の邪鬼が邪魔をして、橋の杭だけ出来上がった状態になった…という伝説※が残る地。大きな岩が連なる光景はなかなか見応えがあります。
※伝説の詳細はこちらを参照:和歌山県ふるさとアーカイブ
駐車場 | あり(無料) |
“暴れん坊将軍”ゆかりの地「和歌山城」
虎伏山(とらふすやま)にそびえたつ”和歌山城”。徳川御三家の紀州徳川家の居城として長く使われました。1705~1716年には、かの”暴れん坊将軍”こと徳川吉宗公も、幼少期にこの城で城主としての時を過ごしました。天守閣からは和歌山市街が見渡せます。
備考 | |
本州最南端!「潮岬」
本州最南端の潮岬。潮岬にそびえる”潮岬観光タワー”に入場すると、もれなく「本州最南端訪問証明書」がもらえます!展望台からの景色は…!海がよく見えます!(海しか見えません!笑)
駐車場 | あり(無料) |
「粉河寺」
旅の途中に出会ったおじさんに勧められて訪れたお寺「粉河寺(こかわでら)」。想像の10倍くらい立派なお寺で、境内は広く、本堂はなんと国の重要文化財であり、かつ西国33所の中で最大の本堂であるという。訪れた時間帯が夕方で、人は自分以外おらず…日本昔話の世界に迷い込んだような不思議な感覚で観光しました。とても重厚感のある綺麗なお寺でした。(あの時のおじさん…教えて頂き有難うございました!)
駐車場 | あり(無料) |
「淡嶋神社」
友ヶ島観光のついでに立ち寄った、人形供養で有名な神社。境内は招き猫や市松人形、達磨や蛙の置物などで溢れ返っており、異様な雰囲気でした。人形供養をするのはお寺のイメージであったので、神社で供養ってするんだ…と当時、不思議に思いましたね。
某大阪にあるテーマパークが、ここの日本人形(本当に供養されているもの)を、お化け屋敷に使ったとかで、バッシングを受けていた記憶がありますが、訪れる際は、心霊とかを期待したようなふざけた態度で訪れるのは、くれぐれもやめましょう。
駐車場 | あり(無料) |
「獅子岩」
海に向かって獅子が咆哮しているように見える奇岩”獅子岩”。全国各地に○○岩というような奇岩はありますが、こちらの獅子岩は本当にライオンのように見えます。
駐車場 | あり(無料) |
おわりに
いかがでしたでしょうか。和歌山県、個人的にとてもおススメです。この記事で行ってみたい!と思える場所が見つかったのであれば、うれしいです。他の都道府県の記事も順次投稿予定なので、ご興味があれば覗いてみてください!