※本記事は道東『オホーツク(網走・知床)編』です。
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世界自然遺産「知床国立公園」
厳しい大自然に閉ざされた知床。地名はアイヌ語の”シリ(大地の)エトク(突端)”に由来します。シマフクロウやオオワシ、シレトコスミレなどの希少な動植物が分布することに加え、流氷が運んでくる植物性プランクトンから始まる”陸・海・空”が連帯した奇跡的な生態サイクルが評価されたことで、”知床国立公園”として、2005年に世界自然遺産に登録されました。
野生動物が多い北海道の中でも特に動物たちの生息数が多く、手つかずの自然が多く残るこの大自然エリアでは、”人間が、動物たちの住処にお邪魔している”という意識を自然と持ちます。運が良ければキタキツネやエゾシカ、タヌキなどの出会うことできるでしょう。
そして、知床を代表する動物といえば、日本最強の陸上生物である「ヒグマ」。知床半島には約500頭のヒグマが生息しており、その生息密度はなんと、世界一。運良くも、運悪くもヒグマと出遭う可能性はあります。知床を訪れる際には必ず、知床財団「知床国立公園を訪れる方へ」を熟読し、観光客の軽率な行動が、人間やヒグマの命を奪うことにつながりかねないということを理解の上、知床を訪れましょう。
終着点は天地の交差点「天に続く道」
天に続く道には、”始点”の展望ポイントと、そこから西に数百メートル道を走ったところにもう一つ展望ポイントがあります。個人的には始点ではない方の展望ポイントの方が道路脇の景色が開けていて、雰囲気が良い(写真が撮りやすい)と思います。数百メートルしか離れていないので、両方行くのがいいですね。
駐車場 | 有り(無料) |
マップコード | 642 559 442*71 |
森林に湧く、神秘の湧水「神の子池」
裏摩周湖からほど近く、摩周湖斜里線(北海道道1115号)を山道に少し逸れて、でこぼこの砂利道をしばらく行くと、凄まじい透明度を誇るコバルトブルーの小池、「神の子池」に辿り着きます。神の子池は、アイヌ語で”キンタン・カムイ・トー(奥山の神の湖)”と呼ばれる、摩周湖の伏流水が地表に表れた小池とされており、そこから”神の湖”の子、「神の子」池と命名されたそうです。
神の子池の湖底をよく見ると、あちこちの砂地から水が勢いよく湧き出ている様子が見て取れます。周囲約220メートル、水深5メートルの小さな池ですが、1日あたり、なんと1万2千トンもの水が湧き出しているそうです。1万2千トン…よくわかりませんが、神の子池から溢れ出た水が、池の脇から流れ出て川を形成していますので、その流れ出る水の勢いを見てください。1日あたり、1万2千トン…の水の勢いを感じられることでしょう。
また、池には北海道にしかいない珍しい川魚である「オショロコマ」が生息しています。川魚は通常、警戒心が強く観察が難しいですが、ここのオショロコマは天敵がいないのか堂々と泳ぎまわっているので、労せず観察ができます。訪れた際には、青い湖を優雅に泳ぐ”オショロコマ”を、是非探してみてください。
備考 | 公開:5月上旬~10月下旬まで ※冬期間車両通行止め ※神の子池は、森の中に位置しています。『クマ出没注意』の看板も立っていますが、ヒグマが出ることがあるそうなので、音を出すなどの自身の存在アピールを欠かさず、周囲に十分に注意して観光してください。 |
駐車場 | 有り(無料) |
マップコード | 神の子池 駐車場 910 216 192*86 |
網走番外地「博物館 網走監獄」
かつて日本全国の凶悪犯が集められ収監されたという網走刑務所。極寒の冬、周囲にはヒグマの生息する森林、厳重な警備体制から「脱獄不可能」と呼ばれたという。激動の時代を経て、刑務所が改築されることになったが、網走刑務所はその歴史的背景や、建築的価値が非常に高いとされ、昭和60年(1985年)に当時の建物が移築され「博物館 網走監獄」として、その歴史を語り継ぐ場として公開されるようになりました。
ベルギーの監獄を参考に設計され、放射状に広がる5つの舎房の廊下が中央見張所の一か所から死角なく監視できる”五翼放射状平屋舎房”をはじめ、教誨堂、庁舎などの歴史的な建物が敷地内に点在し、重要文化財が8棟、登録有形文化財が6棟という、学術的にも価値のある博物館となっています。
博物館には当時の収監者の生活や、監獄で起きたエピソードが書かれた多くの説明書がありますが、中でもやはり脱獄囚のエピソードがとても面白いです。凶悪犯ではあるものの、脱獄するための悪知恵や根性に関しては、きっと感心することでしょう。一度は足を運んで然るべき観光スポットです。
備考 | 大人 1,500円 ※10%OFFのインターネット割引券あり(印刷、またはスマホなどでの提示でOK) |
駐車場 | 有り(無料) |
マップコード | 305 582 354*10 |
冒険心を持って滝登り!「カムイワッカ 湯の滝」
知床五湖からさらに奥地。冬季閉鎖のゲートを通り、砂利道をずっと奥地に進んでいくと”カムイワッカ 湯の滝”に辿り着きます。知床半島のウトロ(オホーツク)側で、一般観光客の立ち入れる知床最奥の地にある湯の滝は、その名の通り温泉の滝。湯温は約30℃とぬるめですが、なだらかな斜面を温水が流れる、とても珍しいスポットです。
そしてなんとこの湯の滝、滝が流れる斜面を150mほど(規制ラインまで)歩いて登っていくことができます。暖かい水の中を沢登りをする経験は、まるで冒険をしているようで、何とも言えない面白さがあります。
尚、裸足でも登ることはできますが、足を切る恐れがあるので公式では推奨されていません。古靴下を用意するか、ウトロ市内にある「道の駅シエトリク」や「知床自然センター」では、このカムイワッカ湯の滝に行く人向けに、滑り止め付き靴下(約1000円)が売っているので、こちらを購入しておくことをお勧めします。また、湯の滝は「強酸性」です。肌が弱い方は長時間足を漬けないように注意してください。肌が弱くなくても、長時間浸ると皮膚の薄い足の甲あたりがピリピリしたり、かゆみを帯びたりしますので、その点は十分ご理解の上、是非沢登りを楽しんでください!
備考 | 通行規制期間や、マイカー規制期間があるので「知床自然センター」にて、最新情報をご確認ください。 |
駐車場 | 有り(無料) |
マップコード | 757 856 180*83 |
羅臼岳を見上げる「知床峠(羅臼岳)」
知床峠は、知床半島を横切るように走る知床横断道路の頂上、標高738mの峠です。見晴らしがとてもよく、羅臼岳をバックに写真を撮るには最適のスポットとなっています。秋には知床の紅葉を一望することができます。空気が澄んでいれば、北方領土である「国後島」も観ることができ、峠からの眺めは「知床八景」の一つとして登録されています。
備考 | 冬季は通行止めとなるため、最新道路状況をご確認下さい。 ※例年、11月上旬~翌4月下旬が通行止め期間 |
駐車場 | 有り(無料) |
マップコード | 757 493 212*04 |
5つの湖を擁する神々の山々「知床五湖・知床連山」
知床を代表する景勝地である”知床五湖”。名前の通り、5つの湖が周辺に点在している景勝地です。また湖畔からは雄大に山々が連なる”知床連山”を見渡すことができ、知床に訪れた際には外せない観光スポットとなっています。
湖を観光するには2つの方法があります。一つは、高架木道を歩くコース。駐車場から一湖の北側の湖畔まで全長約800mの高架木道が設けられています。高架の下側にはヒグマが登ってこられないように電気柵(7000V)が張り巡らされており、安全に湖や知床連山の風景を楽しむことができます。一湖しか見ることができませんが、無料・かつ安全に景色を楽しむことができます。
もう一つは、湖の周囲に設けられた地上遊歩道を歩いて回るコースです。こちらは実際に山の中に入っていくハイキングコースとなっているため、遊歩道入場にはレクチャーを受ける必要があります(有料。団体*15名未満であれば事前予約不要)。知床五湖周辺は水辺であることも相まって、ヒグマ出没頻度が非常に高いことでも知られており、5月~7月のヒグマ活動期はガイド付きツアーでのみ散策が可能となっています。ご旅行される時期に合わせて、知床五湖フィールドハウス公式サイトにてご確認ください。尚、ヒグマ出没時や天候不良時は散策道が閉鎖されることもありますので、悪しからず…。
駐車場 | 有り(有料:一般車500円) |
マップコード | 757 730 274*12 |
国道沿いの迫力の滝「オシンコシンの滝」
斜里町からウトロに向かう途中にある景勝地”オシンコシンの滝”。アイヌ語の”オ・シュンク・ウシ(エゾマツが群生するところ)”というのが、呼称の由来だそうです。流れる滝が途中から2つに分かれていることから「双美の滝」とも呼ばれています。
国道334号のすぐ脇にあり、道路から見えるほど簡単に見ることができますが、階段を少し上ると滝の正面まで行くことができ、滝の水しぶきを浴びる距離でダイナミックな自然を感じることができます。アクセスがとても容易なので、是非一度車を降りて、近くで滝を見ることをお勧めします。
駐車場 | 有り(無料) |
マップコード | 894 727 228*43 |
世界自然遺産を海から一望「知床の観光船」
ウトロ漁港を拠点に、知床の大自然を海から眺めることができる観光船が出ています。複数の会社が船を運航していますが、大体共通して3つのコースが用意されており「カムイワッカの滝 コース」「ルシャ海岸 コース」「知床岬 コース」が運行されています。
また、運航会社によって大型船/小型船(クルーザー)が変わってくるので、目的に応じて選択しましょう。
それぞれの特徴は以下の通り。
◆コースの特徴
所要時間 (料金目安/名) |
特徴 | |
カムイワッカの滝 コース | 約1時間 (約4,000円) |
オホーツク海クルーズの雰囲気が楽しめればいい人向け。カムイワッカの滝が海に流れ落ちてゆく、壮大な自然を目の当たりにすることができる。ただし、ヒグマが見られる可能性は20%ほど。 |
ルシャ湾コース | 約1.5~2時間 (約6,000円) |
海岸で食べ物を探すヒグマの姿がしばしば目撃される「ルシャ海岸」まで行って折り返すコース。ヒグマが見たい方はこのコースに乗ると80~90%の高確率で見ることができます。 |
知床岬コース | 約3~4時間 (約9,000円) |
知床半島の先端、知床峠まで行くコース。知床観光を制覇したい方におすすめのコース。ヒグマが見られる確率は、90%~とのこと。ただ、海の状況によって途中で引き返すことも多々あります。 |
※ちなみに筆者は、知床観光船ドルフィンの「知床岬コース」を申し込みましたが、いざ沖合に出たところ波が高くなってきて”帰路の安全が確保できない”との理由で、ルシャ湾で折り返しとなりました。ただ、ルシャ湾岸コース扱いとして頂き、差額は返金いただけました。返金ルールについては運航各社でルールが異なる可能性があるので、申し込み前に確認してください。
◆大型船/小型船それぞれの特徴
船の種類 | メリット | デメリット |
大型船 | ・揺れにくい ・多少の悪天候でも出航することがある。 ・船内に売店などがある |
・岸から大分離れた航路をとるため、ヒグマが本当に豆粒にしか見えない。 |
小型船 | ・岸に接近することができるため、滝やヒグマなどを大型船に比べると近距離で観察することができる。 | ・非常に揺れるため、船酔いの恐れあり。 ・揺れによるカメラの手振れがおきやすい。 |
駐車場 | ※各運航会社ホームページにてご確認ください。 |
断崖より染み出る“乙女の涙”「フレペの滝」
知床自然センターから徒歩約20分。ヒグマに警戒しながら遊歩道を行くと、フレペの滝に辿り着きます。”フレペ”はアイヌ語で「赤い水」という意味。特に水が赤いというわけではないと思いますが…この滝の珍しいところは「滝なのに、滝になる川がないこと」。地下水が、断崖の割れ目から直接流れ出て、海に流れているフレペの滝は、その地下水がしめやかに岩から染み出している様子が、涙の様だということから、別名「乙女の涙」とも呼ばれています。
尚、前述の通り、一般的な滝のように勢いよく水が流れているわけでもなく、川があるわけでもないので、”フレペの滝”の看板を見つけても「え??どれ?どこ?」となりがちですが、崖から滝が染み出しているので、崖下に注目して探してみてください。
駐車場 | 有り(無料) |
マップコード | 知床自然センター: 757 603 607*04 |
絵本のような景色「メルヘンの丘」
女満別空港からほど近く。7本の木(カラマツ)が立ち並ぶ、可愛らしい景色が広がっています。美瑛にも負けず劣らずの”THE・北海道”感を醸し出す「メルヘンの丘」。周りは畑のみという場所ですが、それだけにこの木々がいい味を出している、そんなスポットです。
駐車場 | 有り(無料) |
マップコード | 305 308 400*41 |
「サロマ湖」
サロマ町は「かぼちゃ」が特産だそうで、国道238号線沿いにある”道の駅 サロマ湖”では、かぼちゃの特産品が多く売っています。かぼちゃが好きな人はぜひ。
「能取湖」
毎年9月頃には、湖畔に群生する”サンゴ草”が真っ赤に色づき、幻想的な風景が広がるそうな。訪れるなら9月ですね。。。
「オロンコ岩」
ウトロにある、ひと際目を引く60mもの高さの巨岩。階段で登ることができ、頂上からはウトロ地区を一望できる。
おわりに
いかがでしたでしょうか。この記事で行ってみたい!と思える場所が見つかったのであれば、うれしいです。北海道については、他記事の「道東(釧路・根室)編」「道央編」「道北編」「十勝・帯広編」も、もしご興味があれば覗いてみてください!