【九州最後の炭鉱】池島炭鉱ツアー体験記!池島へのアクセス方法もご紹介

※池島炭鉱へのアクセス方法はこちら※

九州の長崎県西岸、神浦(こうのうら)港からフェリーで約30分の沖合に、”九州最後の炭鉱”こと「池島炭鉱」があります。

ここ池島では、1959年から石炭の採掘が始まったそうで、2001年に惜しまれつつも閉山するまで、約40年に渡って石炭が採掘され続けたそうです。
池島でとれた石炭はとても良質であったため、日本の高度成長期における工業発展に大きく貢献したそうな。
池島炭鉱はまだ世界遺産には登録されていませんが、環境の保存状態が良いため、条件が揃えばそのうち世界遺産登録されるのではないかと思います。

 

島に到着してまず見えてくるのは、島でとれた石炭を船に積み込むための大きなクレーン。
山の上にも炭鉱関連施設と見られる廃墟が見えているが、池島は島全体が炭鉱の街であり、これはその炭鉱施設の内のほんの一部。島の内地には多くの炭鉱関連施設が点在しています。

島は自由に散策することができますが、坑道や立坑跡地などは、立入禁止エリアがほとんど。
元炭鉱マンがガイドしてくれるツアーに参加すると、坑道に入ったり、立坑跡地にも踏み入ることができる!というので、予約制のツアーに参加してみました。
尚、ツアーは写真はOKですが、動画はNGとのことです!

 

フェリーで港に着くと、ガイドの方が「ツアー参加の方ー!」と声を挙げて出迎えてくれました。
尚、私が利用したフェリーには20名弱が乗っていましたが、2人を除いてあとはツアー参加者のようでした(2人だけ、船を降りてすぐにスタスタと歩いて行ってしまいました…)。
参加者が揃っているかの点呼が完了すると、まずは「池島総合開発センター」という建物に5分ほど歩いて移動し、そこでツアー代金の支払と、諸注意事項の伝達を受けます。
閉山済みとはいえ、坑道には危険が潜んでいるので、規律を守って見学しないと命に関わる可能性もあるからですね。。。生きて帰りたい!!!笑

 

配られたヘルメットをかぶって、ツアースタートです!

「松石」と呼ばれる、超硬質の岩。これに掘削機が当たると、刃こぼれしてしまうとのこと

ガイドの尾崎さんは、実際に池島炭鉱で働いていた方で、当時の様子を交えつつ炭鉱での作業について説明してくださいました。
ツアーの最初でトロッコに乗り込み、いよいよ坑道に入坑!「手足を出さないように!」とのこと。危険な場所に乗り込んでいく…という雰囲気満載で、冒険心が掻き立てられます!

電動トロッコに乗り込み、いざ坑道へ!

 

坑内はヒンヤリした空気。四季を問わず、温度は平均15~20℃だそうです。
最初に、池島炭鉱の歴史のレクチャーを写真を交え説明頂きました。その後、坑道内奥地へを足を踏み入れていきます!

頭上を見上げると、機械がぶら下がっている。これは「電子ガス検知器」で、ガスを検知するとけたたましくアラーム音が鳴る機械とのこと。
坑道内では有毒ガスが充満すると鉱夫は全滅となるため、いち早くガスの存在を検知するために、人間の嗅覚に頼らない機械でのガス検知の仕組みは必須だったんですね。

 

「さて、このような機械がなかったその昔は、ある鳥を使ってガスの検知がされていました。その鳥とは何でしょう?」と、ガイドの尾崎さん。
ヒントは”カ○○○”です。子供の頃に読んだ手塚治虫の漫画、ブラックジャックに書いてあったなぁ…読破している人はわかるはずです笑 

続いてお目見えしたのは、巨大なモンスターマシン!掘削作業の主戦力ともいえる「ロードヘッダー」という掘削機。なんとこちら、実際に動かしてくれます!
グォォォン…!!』と回りだす掘削機。大迫力です!!
1日に30メートルも掘り進むことができるこのモンスターマシンですが、記事冒頭で出てきた「松石」が天敵。
松石にぶち当たると、刃の部分(画像の白い突端)が欠けてしまうそうな。そんな時はどうするのか。。。

 

発破です!!!
ダイナマイトで硬い岩盤もろともブっ飛ばしてしまいます!…といっても、ダイナマイトを坑道にむき出しで配置して爆破させるわけにはいきません。
ダイナマイトは筒状の細長いものを使用します。発破したい岩盤に「穿孔(せんこう)機」で細い穴を開け、その穴に筒状のダイナマイトを差し込んで設置することで、狙った範囲だけを爆破できるようにしていました。

ダイナマイトを仕掛けるための穴をあける「穿孔機」

ツアーでは、穿孔機のドリルを回す体験もさせてくれます。尚、飽くまでも穿孔機のトリガーを引いて、ドリルを回すだけです。岩肌に穴をあけることはできません。危ないですからね!(尚、全員出来るわけではないので、やってみたい場合は積極的に”やりたい!”というアピールをしましょう!)

こちらは、また松石のような岩かと思いきや・・・石炭の塊!
石炭は貴重なエネルギー源として、大切な資源だったことから”黒いダイヤ”と呼ばれますが、確かに近くで見るとキラキラ、つやつやしていて、確かに磨けば宝石になるのではないかという感じでした。私は「石炭」というと、こぶしくらいのゴロゴロした大きさのものを思い浮かべていたので、このサイズのものは見応えがありました!!
国内での石炭採掘はもう行われないことを鑑みると、本当に貴重な石炭の大塊ですね。

続いて、こちらは「エアーマント」のご紹介。
坑道内でガス漏れなどの問題が起きた場合、基本的には坑道内に設けられている「救急センター」に避難するのですが、移動がままならない事態に遭った場合は、このエアーマントを被り毒ガスを吸わないようにして、その場でじっと救助を待つそうです。(尚、幸いにも池島炭鉱の稼働中には、このエアーマントが使われるような事故が起きたことは一度もなかったそうです)

 

 

ところどころ地下水が滴り落ちる坑道をさらに奥に進むと、グーっと登り坂になっている空間に出ました。

遠くに見える光は…地上だそうです!掘削された石炭はあの光の下へ運ばれ、地上に送り出されていったそうです。

我々も元来た道を戻り、地上に戻ります!

 

 

ツアー後半は、島の中を歩いて散策します。ガイド担当も尾崎さんから、池野さんにバトンタッチ。

まず最初に見えてきたのは「第一立坑」跡。そして、坑道から掘削された石炭を港に運ぶ「ベルトコンベア」。ベルトこそ見えませんが、この長い筒状のコンテナのようなものの中にはベルトコンベアが通っており、坑道から運び出された石炭が港の方へ運ばれていったそうです。

この建物は「IKESHIMA FAMILY BOWL」というボーリング場跡です。池野さんが青春時代の思い出を語ってくださいました。ガイドの池野さんはなんと生まれも育ちもここ池島とのこと。子供のころからこの炭鉱の島の歴史を見てきた生き証人です。もともと映画好きだった池野さんはNetflix(だったかな?)にハマっているそうで、前半は島の紹介と同じくらい、映画の話をしていました 笑

こちらは商店街。焼肉屋(だったかな?)があったそうで、一晩でウン百万売り上げたこともあったとか。最盛期には多くの人で賑わっていましたが、今は住んでいる人はおらず…廃墟となっています。

ツアーでは島の団地の中も案内頂き、当時、鉱山業に従事していた島民たちがどのような暮らしをしていたのかも見せてもらえます。
軍艦島もそうですが、鉱山での石炭採掘は常に死と隣り合わせの危険な作業であり、鉱夫たちは命を懸けで石炭を採掘していたため、当時の一般サラリーマンの倍以上とも言われるお給金を得ていたそうで、暮らしぶりはだいぶ余裕があったとのこと。
団地の屋上からは、島が一望できます。
手前に大きな建屋と、そこから港に石炭を運ぶために長く続くベルトコンベアの全貌が見えました。手前の建屋のすぐ右に、四角い口のバッテン(×)が続いた建物がありますが、これは坑道に潜った際に、グーっと登り坂になっていた坑道の先に見えた光の出口だそうです。(あの穴の中にいたのか…)と何だか不思議な気持ちになりました。
団地を出て、引き続き島内散策。廃墟好きにはたまらない景色を横目に歩いていくと、遠くに「島内唯一の信号機」が見えました。
島には小学校がありましたが、子供たちに交通ルールを学ばせるためだけに設置されていたんだそうな。
島唯一の売店であった「かあちゃんの店」前。島に泊まる人は、ココで食料を調達していたのですが、、2023年3月末を以て閉店したとのこと。
 
店前では大量のネコが日向ぼっこ中。。。人慣れしていて、昼寝している中を大人数で突入しても、意に介さず。
第二立坑へと向かう近道。上の看板は風化していてもはやほぼ読めませんが[✚御安全に]と書いてあります。
8階建てマンションの廃墟。こちらは山側から入るマンションの”裏口”にあたりますが、正面の橋を渡ると4階に直結しているそうです。8階に住んでいる人は山側から入れば、実質4階建てに住んでいるのも同然、ということですね!なかなか面白い。
第2立坑跡地へ。施錠されたゲートを通過し、閉ざされた地へと踏み入れます。
ここにはツアーに参加した者のみが出会える、女神様がいらっしゃいます。
U. F .O. !

ピ・・・ピンクレディ! ではありません。笑

【慈海】と名付けられたこの銅像は、炭鉱での作業の無事を祈念して創られた、島の守り神です。
斜め下を向いていますが、これは海底炭鉱を見ており、作業員たちの無事をこの地から見守っているのだとか。台座には「永遠に池島の生命と幸福を守りたまえ」との想いが刻まれています。製作者は長崎の平和記念公園にある、かの有名な「平和祈念の像」を造った北村西望の弟子である、橋本活道の作品とのこと。

第二立坑は内部に入ることはできませんが、窓越しに風呂場を見せてもらえました。
※以前は、窓を開けて見せていたそうですが、モラルのかけらもない不法侵入者が出たそうで、それ以来窓は閉めてしまっているそうです。
最後に、モダンな8階建てマンションを下から見上げて、ツアーは終了。
 
 
たった3000円で、軍艦島ツアーよりも実際の炭鉱の様子を知ることができ、また廃墟にも近づくことができる、とても参加する意義のあるツアーでした。
ここには書ききれなかったガイドさんの面白トークや、坑道の雰囲気などはツアーに参加しないと味わえないものです。
(惜しむらくは、ツアーに参加すると”四方山”からの絶景が拝めないこと。ネットで池島の画像を検索すると、四方山から見た、8階建てマンションがずらりと並んだ廃墟マニア垂涎の景色が出てくるのですが…帰りのフェリーの時間の関係で、ツアーに参加するとその景色は見ることができません。いつかツアーに組み込まれたらいいな…)
 
ツアーへの申し込み方法

 

最後になりましたが、ツアーの参加については、以下のサイトから申し込めます。


長崎市公式観光サイト「長崎さるく -池島炭鉱体験-


池島へのアクセス

ツアーに参加する場合は、往復のフェリーの出航時間の都合上、池島には「神浦港(かんのうらこう)」からアクセスすることになります。

神浦港へのアクセスですが、公共交通機関を使う場合はバス(さいかい交通)で向かうことになります。

私はレンタカーであったので、前日に西海市に宿泊して翌日早朝に車で港に向かいましたが、
神浦港10:30出発のフェリーに乗るために、長崎市内からバスで向かう場合は、以下のようになります。
※時刻は2024年4月1日時点のものです
*****************************************
◆長崎駅前南口 バス停
1番線 :「桜の里ターミナル」行 (平日:8時27分発、 土日祝日:8時25分発)
↓ 44分 乗車(40駅)↓運賃510円
◆桜の里ターミナル バス停 (平日:9時13分着、 土日祝日:9時9分着)
板の浦線:「板の浦」行 (9時20分発)
↓ 32分 乗車(28駅)↓運賃470円
◆神の浦 バス停 (9時53分 着)
下車後、フェリーターミナルまで徒歩5分
*****************************************
上述のバスを使えば、ちょうどフェリー出航の30分前に港に着けます。
神浦港10:30発⇒池島港10:58着のフェリーを利用して池島に向かいましょう。

尚、私は【(午前)池島坑内ツアー+(午後)観光オプション(約2時間)】の観光コースに申し込みましたが、その場合は行きと帰りでそれぞれ、下記の表の黄色で色付けしたフェリーを利用することになります。

◆神浦港⇒池島港

神浦港発 池島港着

所要

船種 料金

6時45分頃

7時00分頃

15分 進栄丸

370円(160円)

7時30分頃

7時45分頃

15分 進栄丸 370円(160円)
10時30分 10時56分 26分 フェリー 420円(210円)
13時46分 14時12分 26分 フェリー 420円(210円)
15時40分頃 15時55分頃 15分 進栄丸 370円(160円)
16時25分頃 16時40分頃 15分 進栄丸 370円(160円)

◆池島港⇒神浦港

池島港発 神浦港着

所要

船種 料金

7時05分頃

7時20分頃

15分 進栄丸

370円(160円)

8時13分頃

8時28分頃

15分 進栄丸 370円(160円)
9時45分 10時11分 26分 フェリー 420円(210円)
13時17分 13時43分 26分 フェリー 420円(210円)
16時00分頃 16時15分頃 15分 進栄丸 370円(160円)
16時45分頃 17時00分頃 15分 進栄丸 370円(160円)

注意:進栄丸は毎週日曜日、および8月13日~8月15日、12月31日~1月3日の期間は運休

尚、フェリーのチケットですが、往路分は神浦港にあるチケット売り場(チケットオフィス)で購入します。
※高速船(進栄丸)の場合は直接船着場へ行き、船頭さんに支払います。

神浦港のチケットオフィス
往路(神浦港⇒池島港)はフェリー
復路(池島港⇒神浦港)は高速船でした

炭鉱ツアーは日本全国見ても、ここでしか体験できない貴重なものです。
是非是非、興味がある方は足を運んでみてくださいね!